戦略的先制獣医療とは

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精密医療:“群”から“個”への戦略的対応

医療の考え方も時代とともに変化していきます。
人では歴史的に伝染病に対応するため公衆衛生学的対応として“群”への医学が発展し、さらに今日では“個”に対応するための「精密医療」が提唱されるようになってきました。
古典的医療では、群の偏差から逸脱した個体を“異常”と判断し、さらに検査を重ねて疾患名を確定し、治療するというという手法をとってきました。
しかし、この手法ではそれぞれの背景因子が大きく異なる“個”にたいして十分な医療を提供できないことが判明し、今日では個の情報をもとに健康群に介入していくという、あらたな手法に変わりつつあります。
この考え方は精密医療と呼ばれ、

1.疾患は個体の遺伝的素因と環境因子によって発症する
2.疾患は時空間上を拡大する
3.健常と疾患の境界は明確ではない
4.疾患には抽出と介入が必要である

という事実に基づいてさまざまな介入を実施していきます。
つまり、医療では従来の、診断―治療から抽出―介入へと、大きくパラダイムの変換が起きています。
時間軸上の発病前に予測的介入を行い、終生にわたって監視を続けていくことで、発病を回避、軽減できる可能性があり、動物、飼い主ばかりか、獣医師側も末期症例をかかえこまなくてすむメリットがあります。

先制医療:先制医療実践の場としての健診と検診、そしてその戦略

精密医療はその個体に対して終生実施するべき事項ですが、今回の年次大会ではそのGate keeperともいえる「先制医療」に注目しました。
先制医療とは、『病気の発症前に発症の蓋然性を検討し,蓋然性が高いならば,発症前に一次予防的介入を行ない、病気の発症を未然に防ぐという予防医学のアプローチの最新のもの※1』です。
『従来の予防医学が「主に経験的事実を根拠として、すべての人を対象に展開されてきた(例:生活習慣の改善など)」のに対し、「先制医療」では「病態・病因の発生や進行のメカニズムにあわせて、予見的に介入する点」が異なる※2』とされています。
この先制医療を実施するには個体情報の収集が必須であり、動物病院におけるその手法として最善かつ必須なのが健診と検診の利用です。
先制医療における「健診」は、かつて医療の現場で行われ、そして今日でも獣医療の中心である古典的な公衆衛生学レベルの作業ではなく、発症を予測、診断しつつ、その情報を基に病態に合わせてヘルスプロモーションを提案することで個体の健康を維持するという最新の考え方で行われます。
さらに「健診」に、特定の危険因子に対して行う特別な検査、「検診」を組み入れることでその有効性は飛躍的に高まります。
獣医学領域でも多くの犬種、疾患ではそのリスクのevidenceが提示されており、それらを背景とした最先端の検診を行うことが可能です。

※1 辻 真博「医療のパラダイムシフト~先制医療~」より
※2 斉藤一郎「About Preemptive Medicine 先制医療とは」より

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